遺言書の作成

 財産を遺す人が、自分の亡き後どのように遺産を分けるかを、生前に指定し、書面にしておくのが遺言書です。

 遺言書がない場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合いを行い、相続人全員が合意する必要があります。ところが、この話し合いがきっかけとなって、相続人同士の争いが始まってしまうケースが往々にしてあるのです。相続で揉めるのは「大金持ちだけ」ではありません。実は、遺産の総額が1千万円前後で、争いになってしまったご家族もかなりの割合に上るのです。

 しかし遺言書を作ってあれば、原則として遺言書の内容が最優先で尊重されますから、相続争いを未然に防ぎ、相続手続をスムーズに行うことができます。

 また、相続税が発生すると予測される場合には、税理士が提案する相続税軽減対策相続税納付資金対策を遺言書に反映させて、ご家族が相続税納付に困らないようにしておくことができます。

 ご自分の財産が、円満かつ確実に引継がれるよう、ご家族への思いやりとして、元気なうちに対策をして遺言書を作りましょう。当オフィスの税理士と行政書士がサポートいたします。

 

遺言書の種類

 代表的なものは、自筆証書遺言公正証書遺言です。次にそれぞれの特徴をお伝えします。

 

自筆証書遺言

 遺言の本文を全部、自分で手書きする遺言です。(財産目録については、パソコンで作成することや登記事項証明書のコピー添付も可能になりました。)。

 

[ メリット ]

  • 最も手軽な方式です。紙とペンと印鑑さえあれば、費用もかからず、いつでも一人で作成できます。

 

[ デメリット ]

  • 法律上の要件を満たしていないために無効になるケースや、文言の書き方によっては遺言内容が不明確であるなどのため、実際の相続手続きに使えないというケースもあります。
  • せっかく書いた遺言書が発見されないおそれや、遺言内容に不満な相続人が遺言書を隠匿・破棄するなどの危険性があります。
  • 開封前の遺言書について家庭裁判所に「検認」の申立てを行う必要があり、検認手続きには1か月以上かかります。なお、相続による不動産の名義変更や、金融機関での払戻し等の手続きを行うには、自筆証書遺言に「検認済証明書」が付いている事が必須です。

※ 法務局の『自筆証書遺言保管制度』を利用した場合は、「検認」が不要になります。また、法務局に遺言書が保管されるため、紛失、隠匿、破棄などの危険性は解消されます。しかし、法務局での保管申請する際の審査は形式が正しいかのみで、内容が法律的に有効かどうかの審査はありません。

 

オフィスくらねができること

 お客様がお書きになった自筆証書遺言の案を拝見して、法律的に不備がないかどうか、文言の表現や遺言内容が適切かどうかなどを確認、アドバイスをいたします。また、書き方がよくわからないというお客様には、どのような内容の遺言をお書きになりたいかをお聞きして、ご希望に沿った遺言書案を作るサポートをいたします。

 自筆証書遺言の保管制度をご希望の場合には、制度のご利用方法などについて、アドバイスをいたします。

 

 

公正証書遺言

 遺言をする人が、公証役場に赴いて、証人2人の立会いのもと、公証人に遺言の内容を口頭で伝えて、それに基づいて公証人が作成する遺言です。原本は公証役場に保管され、遺言者には正本と謄本が交付されます。最も確実な遺言と言われています。

 

公正証書遺言作成の流れ

  1. 遺言内容を決めたうえ、公証役場に公証人との面談の予約をします。
  2. 面談日には公証人に遺言内容を話し、助言や法律的な説明を受けます。
  3. あわせて財産の資料や戸籍など数種類の必要書類を揃えて、公証役場に提出します。
  4. 公証人が遺言者から聞き取った遺言内容に基づき、案文を作成して遺言者に送付します。遺言者は案文を確認し、変更事項があれば公証人に変更依頼します。
  5. 遺言内容が確定したら、遺言書の作成日時を決め、公証役場で正式に公正証書遺言を作成します。
  6. 作成日には、証人2名の立会の下、公証人が遺言内容を読み聞かせて、遺言者の意思を改めて確認します。遺言者・公証人・証人のそれぞれが署名捺印します。
  7. 最後に費用を支払って完了です。作成された遺言書の「原本」は公証役場に保管され、写しである「正本」及び「謄本」が遺言者に渡されます。

 

[ メリット ]

  • 法的要件の不備が理由で無効になる可能性が極めて低い遺言です。公正証書遺言は法務大臣に任命された公証人が作成しますので、ミスのない、法的に有効な遺書を作ることができます。
  • 遺言書の原本が公証役場に半永久的に保管され、紛失、変造、偽造、破棄などのリスクがありません。仮に、正本や謄本を紛失したとしても、原本が公証役場にありますので再発行してもらうことができます。また、遺言者が亡くなった後、公正証書遺言が存在するかどうかや、どこの公証役場に遺言書原本が保管されているのかが分からない場合は、公証役場の検索システムによって調べてもらえます。
  • 検認手続きが不要なので、遺言者が亡くなった後、速やかに遺産相続手続きにとりかかれます。
  • 遺言者が病気又は高齢等のために公証役場に赴くことが困難な場合は、公証人に出張してもらうこともできます。

 

[ デメリット ]

  • 手間と時間がかかります。法的観点及び紛争予防の観点から、公証人との打ち合わせを何度か行う必要があるからです。
  • 証人2人の立会い必要です。遺言で財産を受け取る人やその家族等は証人になることができませんから、利害関係のない第三者に依頼することになります。
  • 公証人の手数料が必要になります。この手数料は、公証人手数料令によって法定されており、額は遺言書に記載する財産の合計額等の要件によって異なります。

 

オフィスくらねができること

 相続トラブルを防ぐ対策、相続税軽減対策相続税納付資金対策を念頭に、お客様のご希望に沿って、遺言書案を作成いたします。また、公証役場との打ち合わせや戸籍等の必要書類の準備などを、お客様に代わって行いますので、お客様には最終段階で初めて公証役場に足を運んでいただき、公証人による公正証書遺言作成手続きを完了するだけになります。

 なお、証人2人を誰に依頼するかお困りの場合は、ご要望により当オフィスの税理士・行政書士が対応いたします。

遺言書とエンディングノートの違いは?

 エンディングノートには内容や書き方について決まりはありませんから、自由に書き留めておくことができます。ご自分にもしものことがあったときを想定して、介護・終末医療・葬儀などについてのご自分の希望、友人の連絡先、財産・貴重品についての情報などを書いておくことができますし、家族へ感謝のことばなど、いろいろなメッセージを伝えることができます。

 では、遺言書とエンディングノートとの違いは何でしょうか。大きな違いは、法律上の効果です。遺言書には法的な効力がありますが、エンディングノートには法的効力がありません。したがって、ご自分の亡き後、ご自分の意思どおりに遺産を分けて、相続手続きをしてもらうためには、エンディングノートとは別に、法的な効力のある遺言書を作成しておく必要があります。エンディングノートには、その遺言書の保管場所などを書いておくとよいでしょう。

 

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